キヨのひとり言



キヨの代表作を紹介します

■「鼻にうじ虫」

 左の鼻の穴がもぞもぞ痒い。 まるでハエかナニかが鼻の中に入りこんでいるかのようだ。 小指をそっと鼻の穴に差し入れてみる。 …ナニかアル。 小指の先に何かが当たる。 鼻くそか? イヤイヤそんな感触じゃない。 あわてて鏡をのぞき込むと、「なんじゃこりゃ」。 美しく表現するなら直径5ミリほどのきれいなミルキー色の真珠、グロテスクに表現するならば直径5ミリほどのうじ虫のようなものが、左の鼻の奥に詰まっている。 鼻に真珠をうめこんだ覚えは無い。 ということはうじ虫か? なんで俺の鼻の穴にうじ虫がいるわけ? 落ち着いて考えている場合じゃない。 とりあえず早く取り出さなきゃと薬箱からピンセットを取り出し再び鏡をのぞき込むと、な、な、な、なんと!!…肥大している。 気のせいか? イヤ確かにさっきより大きくなっている。 しかも、よおーく見ると、「ぴっくんぴっくん」、まるで脈を打っているようだ。まさかピンセットでつまんだら皮が破れてエイリアンが飛び出すなんて事は無いだろうか? 腹からエイリアンが飛び出して死ぬのならまだしも、鼻からエイリアンが飛び出して死ぬというのは、少なくとも私の『死の美学』には反する。 とりあえず軽くピンセットでつまんでひっぱってみる。 思ったよりも弾力があり、これなら皮が破れてエイリアンが飛び出てくることはなさそうだ。今度は少し強めにつまんでひっぱってみる。 が、とれない。鼻の穴に詰まっているというよりも鼻の穴の内側にくっついている感じで、ひっぱてみると痛い。 もしかして新種の寄生虫?  小学生の時、飼っていた金魚の頭に1cmほどの白い糸のようなものがついていて、毛抜きで取ろうとすると、何とそれは金魚の頭に寄生した何とかと言う寄生虫で、まさに金魚の頭から引っこ抜いたあの時の指先の感触が昨日のことのように思い出され、一瞬にして鳥肌が立った。 ちなみにその金魚は悶え苦しんで翌日死んでしまった。 とにかくもう一度つまんでゆっくり、強くひっぱて見る。 痛い。 まさに鼻の内側の皮が剥がされる感じの痛さだ。 我慢してさらに強くひっぱて見ると、「ミシミシ」というか「べリべり」と言うか、そんな感触で剥がし取ることができた。 ピンセットにつままれた物体は鼻の穴に寄生していたとおもわれる部分に血がにじんでいて、その部分に1ミリほどの産毛のようなものが数十本生えている。 この産毛のような触手が鼻の肉に食い込んで寄生していたのだろう。 などと観察していると、またしても鼻の穴がもぞ痒くなってきた。 しかも今度は両方の鼻の穴がもぞ痒い。 再び鏡を見てみると、何てこったブルータス!!、今度は両方の鼻の穴にうじ虫野郎が詰まっている。 しかも今度はハッキリ目に見える速さで肥大している。 あっという間に両方の鼻の穴いっぱいにふくらみ、両方の指でつまんで取り出そうと思っても、もはや鼻の穴から取り出せる大きさではない。 膨張、肥大するうじ虫野郎で鼻が裂けるように痛み、息苦しい。どうしよう、どうしたらいいんだ!!
……と言うところで目が覚めた。
寝汗でパジャマは胸辺りまでぐっしょり濡れている。
あ〜夢か、夢でよっかった。 と思ったその瞬間、左の鼻の穴に異物感が……。
恐る恐る手をやると、左の鼻の穴にぐっしょり濡れた丸めたティッシュが詰まっている。
そうだ、連日の猛暑でクーラーをかっけぱなしで寝たら見事夏風邪をひいてしまい、鼻水が止まらないので、昨夜ティッシュを筒状に丸めて鼻タンポンで寝たんだった。

      皆様お体ご自愛のほどを
      暑中お見舞い申し上げます
    2001年8月 宮沢 清明

No.
タイトル

掲載時期

第1話
「ホームページ開設宣言」 2000.4

第2話
「オナラのメカニズム」2000.9

第3話
「鼻にうじ虫」2001.8

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