第71回 全日本アマチュア自転車競技選手権大会
 女子個人ロードレース

(6月30日、広島県立中央森林公園周回コース・1周12q×7周回=84q) Text&Photo=藪 犬尾

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雨と霧の全アマロード、パリンヤ村中5位入賞!

 この6月、トサカ頭のサッカー選手(赤毛ではなく、金髪の方)が日本女性の黄色い声援を一身に集めていた頃、彼の母国では女王さまが在位50周年を迎え、記念式典が行なわれたとか。普通、女王さまになるには、君主制を採用している国の、王室という家庭に生まれる方法が一般的ではありますが、実力で女王の称号を勝ち取ることも可能です。その代表例がSMの女王さま、そしてスポーツ選手でしょう。「よくって、あたくしを女王さまとお呼び!おっほほほほ…」。嗚呼っ、このセリフ、なんと憧れをかき立てることか。悲しきオスであります私ヤブめも、一度は居丈高に叫んでみたい…失礼、前フリがあらぬ方向へ逸れました。
 そんなわけで(どんなわけだ?)、千葉医療福祉専門学校キヨ所属・村中<パリンヤ>恵美子、ロードの女王を決する全アマロードに3度目の挑戦です。今年のコースはパリンヤ全アマ初挑戦の一昨年と同じ、広島の中央森林公園周回路。時、奇しくもサッカー・ワールドカップ決勝と同日、激闘の一日を予感させるかのように、前夜からの土砂降り雨は一向に降り止みません。朝8時のスタートに間に合わせるため、緊張を噛みしめる暇もなく荷物をまとめ、6時には宿を出発。スタート地点で唯一雨をしのげる小さな休憩所は、案の定場所取り合戦となりましたが、「こんなこったろうと思ったぜ」と監督はあわてず騒がず小型の固定ローラーをわずかなスペースにセット、ウォームアップはつつがなく終了しました。
 スタートラインに選手が並び始めた頃、突然雨が降り止みましたが、路面は当然ウェットのまま。いつもより出走人数も多いため、集団落車も懸念される中、いよいよ女子個人ロードレースがスタート。監督の指令は「沖が最初から飛び出すから、それに何とか反応しろ」。その言葉通り、第1周回、全アマロード4連覇中、今シーズンはヨーロッパを転戦している沖選手(チェブロ)がいきなり集団を引き離し、唐見選手(バイクシステム)が続きます。パリンヤは残念ながら反応できず、第3集団に。しかも、第2周回に入るあたりでは中切れのため集団から脱落しそうになりましたが、根性で何とか持ちこたえます。
 第2周回、先頭に沖・唐見の2選手、約1分30秒離れてパリンヤ、大塚歩(A+○○)、大塚恵美(明治大学)、西(ラバネロ)、中村(順天堂大学)の5選手が第2集団を形成。レースはしばらくその組み合わせで進行しますが、先頭の2人と第2集団の差はじわじわと広がっていきます。
 第4周回から第5周回にかけて、雨が再び激しく降り始めました。水煙のなか、レースにも動きが出てきます。先頭では沖選手が唐見選手を引き離しにかかり、第2集団からは西選手が脱落、大塚歩選手が単独で逃げを打ちます。パリンヤ、大塚恵美、中村の3選手はそのまま4位集団となり、レース終盤に突入。
 断続的な雨に加え、起伏の激しい公園内を霧が素早く移動してゆきます。コースは所々で、視界がかなり悪くなっているようです。やがて、後ろからクルマのヘッドライトに照らされた沖選手が単独でフィニッシュ、今年も女王となりました。パリンヤは3人集団のまま最終周回に入りましたが、ゴール手前でロングスパートした中村選手が4位、パリンヤは5位に入賞しました。
 社会人になってから競技生活を始めたパリンヤ、高校・大学と運動経験を積んでいる体育会系ギャルに交じり、全アマロード初体験では完走がやっとでありましたが、2年間でここまで参りました。思い起こせば、小岩のキャバクラで監督に「どぉ?オレと一発、泪橋を逆から渡ってみない?」と口説かれて、いやスカウトされて以来(この噂は監督自らが流布しているもので、ヤブは一切関知しておりません)、フルタイムで働きつつ、あしたのためにローラーを踏むベシ、踏むベシ、踏むベシの毎日。徐々に努力は実を結びつつありますが、よくってぱりりん、女王さまへの道のりはまだまだ険しくてよ。パリンヤのあしたはどっちだ!(とりあえず、レース翌日は会社を半休したいそうです)。

■女子個人ロードレース成績(出走29人、完走16人)

 
順位 名前 所属 タイム

1位
 沖 美穂  JPCAチームチェブロ  2時間33分40秒

2位
 唐見実世子  バイクシステム  2時間35分12秒

3位
 大塚 歩  A+○○  2時間37分04秒

4位
 中村珠藻  順天堂大学  2時間38分16秒

5位
 村中恵美子  千葉医専キヨ  2時間38分21秒

6位
 大塚恵美  明治大学  2時間38分54秒

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