第72回 全日本アマチュア自転車競技選手権大会トラックレース

第72回 全日本アマチュア自転車競技選手権大会トラックレース(5月24・25日、玉野競輪場・周長400m)
Photo&Text=ヤブイ・ヌヲ

パリンヤ無念、チャンピオンジャージの裾をつかみ損ねる、の巻

  自転車競技、走らなければならないのは選手だけとは限りません。今年の全アマ・トラックレース会場は、岡山県玉野市、瀬戸大橋にほど近い玉野競輪場。選手は大会前日にエントリー手続きや大会会場での試走練習があるため、パリンヤは23日朝、飛行機で東京を発ちましたが、監督が工房での仕事に何とか区切りをつけられたのはその日の日没後。大急ぎでチームカーに荷物を積み込んで小岩を出発したときには夜の9時半を回っていました。パリンヤがエントリーした女子個人追抜の予選開始時刻が翌朝9時30分、準備の時間を考えればスタート3時間前には会場に到着したいところ。岡山まで、星空の下のディスタンスおよそ750km、マシンはだいぶお疲れ気味のニッサン・キャラバン。過酷なタイムトライアルとなりました(除く、後部座席で熟睡のヤブイ)。
  東名、名神、山陽自動車道と、長距離トラックのスリップを利用しまくったにもかかわらず、燃費はリッター6km弱。パーキングエリアごとにチームカーはガソリンをがぶ飲みし、ついでに監督はカフェイン飲料をがぶ飲みし、叩き出したタイムは8時間30分。ホントに間に合うのか、パリンヤがヤキモキしながら待つ玉野競輪場に、午前6時、無事到着できました。吹きつける瀬戸内の海風はあまり潮くさくなく、意外と爽やか。しかし、まったりしているヒマはありません。本番はこれから…。

 ■24日9:30〜、女子3km個人追抜・予選

●パリンヤ、本気モードで女子個抜の頂点を目指しておりやす。今回はおニューのエアロヘルメットまで用意したのですが…
●競技場内はなぜか3本ローラー禁止。一時途方に暮れたキヨ・チームでしたが、固定ローラーを借りることができ、事なきを得ました(ラバネロさん、アリガトウ)
●予選第一組、ほぼノーマークの女子高生、萩原選手(左、伊勢崎女子高校)が対戦相手を抜き去り、4分7秒台というかなりの好タイムを記録。バンクにどよめきが走ります(結局、この記録が今大会の女子個抜一番時計)。「修善寺カップでいいタイムを出して印象に残っていた子だけど、いきなりきたね。勢いってのはコワイからな…」と監督
●昨年度、全アマ女子個抜2位の木村選手(八戸大学)は予選3位
●小野山選手(エキップU)は予選5位、惜しくもセミファイナル進出を逃す
●パリンヤは、予選の対戦相手でかつ最大の強敵・唐見選手が欠場し、独走となりました。張り切って持参したエアロヘルメットはJCFの認可なしとかで、全アマでは使用不可(プロも参加する全日本選手権ではなぜかOKらしいっす)
●一周ごとのタイムをパリンヤに告げ、ペース配分を指示する監督
●中盤、ペースが落ちたものの後半にもり返し、予選2位のタイムをマーク
●準決勝進出を果たし、朝からの緊張がやっと少しほぐれました
●4分を切る記録をもつ杉村選手(ラバネロ)、今回は予選突破ならず
●予選を4位で通過した順天堂大学の中村選手

 ■24日14:00〜、女子3km個人追抜・1/2決勝

●奇しくも昨年の全アマと同じ組み合わせの1/2決勝第1組。前回は苦杯をなめたパリンヤ、雪辱を果たすべくスタート
●セミファイナルではやや精彩を欠いた木村選手。結果、12秒近い差をつけてパリンヤが決勝進出
●準決勝第2組、中村選手のスタートダッシュ
●萩原選手、準決勝でも4人中ベストのタイムで決勝へ。それにしても、脚、チョー長いっす(昭和半ば生まれには想像を絶する次元)

 ■25日9:40〜(ホントは9:50〜?)、女子3km個人追抜・決勝

●ここまで来たら、なにが何でもチャンピオンジャージに袖を通したる! 一番時計を記録しながら3位に終わった昨年の悔しさを噛みしめつつ発進(←想像。このときの心境の確認は取っておりません)
●決勝前半出遅れ、一時はパリンヤにだいぶ離されていた萩原選手ですが、最後の一周で驚異の追い上げ
●「相手は後半伸ばしてくるから、ぜったいに、脚をゆるめて相手を見たりするなっ」。監督の檄を受けペダルを回し続けます
●選手宿舎で同室のお姉さまや明治大学の皆さんの大声援を受け(レース後、パリンヤいたく感激しておりました)最終コーナーをクリア。ゴール前最後の直線に突入した時点ではまだパリンヤがリードを保っていたのですが…結果は以下の通り

 ■25日10:40〜、女子16kmポイントレース

●女子個抜決勝終了後、ピットへ戻る間もなくポイントレースにも出場。わずか一輪差で女王様のドレスを逃したショックと充分売り尽くした脚は、当然回復し切れておりません
●全40周の内、8回あるポイント周回での上位を狙うため、一列棒状になったり
●団子状に密集したり(中央、ゼッケン9は優勝した森本選手)
●不意にアタックをかけたり(ゼッケン2は2位入賞の木村選手)
●目まぐるしく駆け引きが繰り広げられます。しかし、パリンヤは1点もポイントを獲得することなく「聞かないで…」という順位でゴール。アウト側から圧力をかけられると、バンク内側の走行禁止ラインに入って注意されるなど、パリンヤ、ポイントレースの課題はまだてんこ盛り?!

 ■25日お昼、女子3km個人追抜・表彰式

●新星の爆発力に、0.07秒という僅差で敗れ去ってしまいましたが、一昨年→初日でお帰り、昨年→3位、今年→2位とバージョンアップは続いております
●このあと東京まで750kmの耐久ランが控える監督(この2日間でカフェイン中毒気味)と記念撮影。モモタロさんのように日本一の幟を立てて凱旋することはかないませんでしたが、女子個抜2位のメダルと賞状、全日本選手権の出場権、そしてサービスエリアの吉備団子がおみやげです
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