行けど切ない登り坂、嗚呼、レースは今日も雨だった。
でも、今シーズン総決算は価値ある3位表彰台!
パリンヤはきっぱりと言い放ちました。「降水確率100パーセントなのはヤブさんです」。えー、直訳いたしますと「あんたが雨男」。思い起こせば、今年、ヤブが観戦したレースで晴れたのは5月の全アマ・トラック2日目のみ、という惨憺たる有様。まったくもって反論の余地はございません(その場にヤブがいなかった全日本実業団選手権や乗鞍はしっかり晴れていますからねぇ)。
そんなわけで今回も雨が降っています。…というか、午前10時前、ヤブがスタート・フィニッシュ地点にたどり着くとほぼ同時に雨が降り出しました(なんか、申し訳ない)。レース・スタートまではまだ2時間あまり。ピットでは、幸か不幸か、監督が急遽調達したというオートキャンプ用テントが早速威力を発揮していて、キヨ・チームと応援団(Koishizawa夫妻と諏訪さん)は温かいコーヒーを飲みながらまったりと待機中。テーブルに毛布を被せた似非こたつが緊張感を著しくスポイルしていますが、仕方ありません。例年よりずっと寒いのです。
■「一年経つのもはやいわねぇ…」とまったりくつろぐキャンパー…ではありません。一応レース前の選手と応援団です |
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さて、シーズン終盤を飾るジャパンカップ。今年は、インカレを制した大塚恵美選手(=キティちゃん、明治大学)や順天堂大の斎藤、中村両選手など学連トップ選手と、全アマ・ロード2位・唐見選手(バイクシステム)のエントリーが残念ながらありません。
しかし、ヨーロッパで走る全日本チャンピオン・沖選手(チェブロ・ラピスタ)と、アジア大会ポイントレースとロード個人TTで銀メダル獲得の大塚歩選手(A+○○)は揃い踏み。さらに、杉村選手や国内メジャー・レース久々登場の関家選手(皆さんご存じ、2年前までキヨ・チームに在籍。昨シーズンはイタリアで過ごす)をはじめとしたラバネロ勢、ツール・ド・とうほくでパリンヤとチームを組んだ小野山選手(エキップUレーシング)、石井選手(なるしまフレンド)など、「現時点のほぼベスト」(監督談)という顔ぶれが出走します。
パリンヤ、まったりモードはスタート1時間前まで。ウォームアップで身体を暖めると同時に集中も高めてスタートラインへ。応援団とメカニシャン・ヤスくんは強くなる雨の中、応援指定席の登り坂に向かいます。
■本日の勝負運をやかんの沸き具合で占う森林公園の占い師(ウソ)。テーブルに毛布をかぶせたエセこたつだけでは寒いのです。温かい飲み物で暖をとらねば |
■いざ、スタートラインへ向かうパリンヤ。心なしか笑顔がひきつっているのは寒さのせいか、それとも? |
第一周回、先行する男子レースの一団が応援団の前を去ったあと、九十九折りのカーブの向こうから最初に姿を現したのは沖選手でした。スタートしてまだわずか、登り坂の3分ノ1程度の位置なのに、すでに集団を10メートル前後リード。続いて、パリンヤを先頭に関家、小野山、大塚の4選手がひとかたまりで追走。相当ハイペースなのか、後続が早くもブチブチとちぎれ始めています。
■第一周回、山登りの前半で早くも沖選手が集団を一歩リード |
■関家選手(右)、小野山選手(左)、大塚選手(赤ヘルメット)らの先頭に立ち、沖選手を追走するパリンヤ |
今年も沖選手のぶっちぎり独走、という展開が頭をかすめますが、気を取り直して応援団一行は坂道をさらに登り、第二周回に備えます。徐々に大きくなるオフィシャルバイクの排気音。身構えた応援団は、次に目に飛び込んできた光景に、一瞬、声援を送る声を飲み込みました。沖選手と並び、ダンシングで坂を登ってくるパリンヤ! 二人の逃げが決まっているようです。我に返った応援団の声援を背に受けながら、この時、パリンヤの脳裏をよぎった思いとは…「沖さん、パリンヤってなんのことだと思ってるのかしらん?」。そんなことを考える余裕があったら、踏めっ、パリンヤ!
■降りしきる雨をものともしない応援団。「ここはどこ? ずぶ濡れになりながら私は何をしているの? 家で寝ていればよかった」などという後悔の念はカケラもない(と思う) |
■第二周回、なんとパリンヤ、後続をかなり引き離し、沖選手とともに先頭で坂を登って来るではないですか。応援団の熱烈パリンヤ・コールが林間にこだまする |
悲観的な予想に蹴りを入れるパリンヤの走りに、応援団は気分を沸き立たせつつ坂道を戻り始めます。しかし、途中で合流した監督の口から出た言葉は、「う〜ん、パリンヤはだいぶ表情がテンパっていたからなぁ、次は沖が一人で来るな」。
監督の予想は的中してしまい、最終周回、まず、沖選手が単独で応援団の前を通過。ほどなくして必死のダンシングのパリンヤ。表情は明らかに沖選手より苦しそうですが、勢いはそれほど衰えていません。背後からは、大塚選手がパリンヤとの差を第二周回よりもぐっと詰めて迫ってきています。勝負はこの3人で決まりそうですが、落車やパンクを招く完全ウェットのコース状況も含め、予断を許しません。
■パリンヤを山下りでちぎった沖選手、最終周回、トップを独走中 |
■沖選手からやや遅れて、必死のパリンヤが応援団の前を通過 |
■一時は先頭の二人から引き離されていた大塚選手が、パリンヤの背後にヒタヒタと迫る |
■5位集団で最後の山登りにかかる小野山選手(左)と石井選手 |
監督と応援団はともにフィニッシュ地点へと向かいます。途中、最終周回に突入した杉村選手(ラバネロ)に向かい、おもむろに「くみちゃん、くみちゃん、ガンバ、ガンバッ!」と声援を送る監督。振り向きざまに両手放しの投げキッスを返す杉村選手。目がテンとなる応援団。よいこの皆さんはこういうオトナのやりとりの真似をして、安全運転義務違反を犯さないように。
雨はますます激しさを増しました。土砂降りの雨に打たれながら最初にフィニッシュしたのは沖選手。2位は大塚選手。続いてパリンヤが最後のもがきを入れてフィニッシュラインを通過しました。
「沖選手には山の下りでちぎられてしまった。下りは結構得意なのに…う〜。大塚選手には最終周回の途中で追いつかれ、しばらくランデブー。フィニッシュまで3、4qの地点に短いけどきつい登りがあり、そこで大塚選手が駆けるだろうことはわかっていたけど、反応できず行かれてしまった」とレースを振り返るパリンヤ。
最後に沖、大塚両選手に跳ね返されてしまいましたが、何とか二人に喰らいつき、レースを展開しての3位。沖選手に最初からぶっちぎられた一昨年のジャパンカップ3位より、パリンヤ自身、ずっと手応えを感じているのではないでしょうか(賞品は同じCDプレーヤーだそうですが)。
レース後は、ほかのチームが会場の森林公園をとっとと後にするなか、テントの下で近年恒例のワイン・パーティ。氷雨に打たれながら声援を送り続けた応援団は、アルコールで何とか体温回復を図り、一息ついたのでした。
さて、今年残るはツール・ド・おきなわ、ワンレースのみ。このリポートがウェブサイトに載る頃には結果が出ているでしょう。今シーズンの反省、来シーズンの抱負はパリンヤ本人のツール・ド・おきなわリポートに譲るとして(と、プレッシャーをかける)、今年度分のヤブ・リポートはこれにて打ち止め。
来シーズンのG.S.キヨ・ミヤザワ、G.S.ドマーニの活躍と、好天と、「キヨのひとり言」の更新を願いつつ、Arrivederci!
■沖選手、淡々とフィニッシュラインを通過し、優勝 |
■最終周回でパリンヤに追いつき、残り3qほどでアタックした大塚選手が2位(右は男子レースの選手) |
■応援団(矢印)が見守るゴール前の直線にパリンヤが姿を現した |
■パリンヤ、土砂降りの中、3位でフィニッシュ |
■雨、雨、雨でもう泣きたくなります。監督も今年はこの雨合羽でずーっとムレムレ |
■関家選手、4位でフィニッシュ。すぐ後ろに小野山選手が続く |
■ツール・ド・とうほくのチームメイト石井選手、6位入賞 |
■上段左から2位・大塚選手、優勝・沖選手、3位・パリンヤ、下段左から4位・関家選手、5位・小野山選手、6位・石井選手 |
■表彰式が終わりパリンヤはご機嫌モードに突入。応援団はやや脱力気味か? 皆さん、お疲れさまでした。パリンヤにはまだ沖縄が残っとります |
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2002ジャパンカップ・女子個人ロードレース成績(出走16人、完走12人)
順位 |
名前 |
所属 |
タイム |
1位 |
沖 美穂 |
チェブロ・ラピスタ |
1時間19分49秒 |
2位 |
大塚 歩 |
A+○○ |
1時間20分39秒 |
3位 |
村中恵美子 |
千葉医療福祉専門学校キヨ |
1時間21分11秒 |
4位 |
関家朋子 |
スミタ・ラバネロ・パールイズミ |
1時間24分59秒 |
5位 |
小野山恵美 |
エキップUレーシング |
1時間25分01秒 |
6位 |
石井麻実 |
なるしまフレンド |
1時間25分49秒 |
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